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人の文化的発展と言語の関係(文化人類学入門第二章の要約)

人は他の動物と比べても非常に高い知性を持つ。その要因は様々であるが、とりわけ言語に起因するものが強い。この記事では人間の文化的発展を言語の面から見て行きたい。そのためにこの記事では:孝男, & 祖父江. (1979). 文化人類学入門. 中央公論社.の第二章の要約を行う。

 

人間の特色として挙げられる事に道具や火を用いる事が挙げられるが、これの反例としては、チンパンジーに対する道具使用の有無を調査した実験が挙げられる。天井からつり下げられた餌を台や竿によって手に入れようとしたり、ライターを使ってタバコに火をつけるといった物だ。これらにより、人間と動物との間には量的な差しか無い事が明らかになった。では両者のはっきりとした差異はどこにあるのであろうか。言語である。言語中枢(運動性言語中枢、知覚性言語中枢)の発生により、人間は言語を獲得した。これにより人間は自分の持つ知識を他者に伝達する事が出来る。原始時代から現代に欠けての知識の蓄積により人間は動物を遥かに追い抜いて行った。これに加えて、人間は言語を通して記憶と複雑な思考を獲得した。事象を言語に因って媒介させる事でより抽象的で高度な事態を考える事が出来るようになったのだ。これに対して動物はどうであろうか。確かに鳴き声を通して意思の疎通が図られていると言った意見が挙るが、それらは人間で言う感嘆詞としての役割でしかなく、自己の感情を直接的に伝える物でしかない。例えば危険が差し迫った事を伝える事が出来てもどういった危険なのかといったものや、移動することは伝えられても進路や方向と言ったより深い物は伝えられない。そして意思疎通の方法を学んで行く過程というのは、言語が介在しないために、人間よりも大幅に遅れてしまう。後天的な知識伝達も極限られた物でしかない。

人類学者は「文化」という概念でもって人間と動物の間にいられる差異を示そうとした。

文化人類学でいう「文化」とは「生活様式」である。エドワード・タイラーは「知識・信仰・芸術・法律・風習・その他、社会の成員としての人間によって獲得された、あらゆる能力や習慣を含む複合体の全体である」と定義した。

そして人間の文化をより特徴的にするのは、その「内面的」なもの、言い換えると行動の基準や倫理観、といったこのである。こうしたものが人間と動物の質的な差異である。内面的な物は言語のもつシンボル作用の上に成り立っている。

ゆえに人類学者の言う文化は人間の「内面的なもの」と関わっており、さらにそれは人間の持つ言語に因る作用である。

 

以上の記事の元となった:孝男, & 祖父江. (1979). 文化人類学入門. 中央公論社.にはとても具体的に様々な実験や定義等が含まれており、一見の価値がある。チョムスキーの生成文法の意義等の説明も分かりやすい。